自閉症が受け入れられる社会を求めて

株式会社ケー・シー・シー発行「新潟情報」2003年11月26日版掲載

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新潟市自閉症親の会を務める 角田千里

自閉症が受け入れられる社会を求めて

日本では千人に一〜二人が発症するという自閉症。よく知られている名称だが、自閉症自体を正しく理解している人は一体どのくらいいるだろうか。「自閉症は先天的な脳の発達障害。親のしつけが原因でもないし、心の病気でもないんです」と話す角田さん。新潟市自閉症親の会の会長である。

「息子が一歳八ヶ月のとき、自閉症と診断されました。何も考えられない、まさに思考回路が停止するという感じでした」。言葉や他人の感情をうまく理解できず、円滑なコミュニケーションがとれない症状のため、変質者や痴漢に間違われることもあるという。「急に歌い出したり、奇声を上げたり。そんな子供の行動は何年経っても恥ずかしいと思う親も多いです。世間の目、社会の目が怖いんです」。

保育園、小学校と進学するたびに説明が必要なことに疑問を感じたのが親の会へ参加するきっかけとなった。「一貫した情報を持った、本拠地となるような場所がほしい。行政に働きかけたい」。しかし実際は「それどころじゃなかった。どう育てたらいいのか、と悩むお母さん達でいっぱいでした」。毎月一回の定例会でお互いの相談をし、セルフカウンセリングを行う活動が続いた。「一年後には、親たちも『子供のために何かしてあげたい』と少しずつ元気に」。今では学習会の開催や、イベントを企画し運営している。「まずは社会へ自閉症という障害の啓発から」と話す笑顔には、一生懸命に生きる輝きがある。