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■9.障害受容の重要性

PDDは,成長とともにその特徴が目立たなくなることはあっても,治癒するということはありません.だから,いずれは自分には障害があるんだということを自分自身で受け入れなければならなくなります.こどもが思春期を迎えるまで,障害を隠して育てると,その後,自分が障害を持つことを受け入れることはとても困難になります.障害に向きあわせることは,何歳になっても,こどもを落ち込ませます.しかし,いずれ必要となるのであれば,低年齢の方が事態を受け入れやすいようです.

周りからの援助は,こども本人が自分の障害を理解していることが前提になります.自分は何でもできると思っていたら,援助を受け入れることができません.

こども本人にとっても,問題行動の原因を,がまんがないとか,性格が云々と言われるよりも,PDDだからというように言われた方が楽であることが多いようです.よい意味での開き直りは,こども自身を強くするようです.

こどもが障害を受け入れるためには,親がこどもの障害を受け入れていることが大前提です.<あなたに障害があるとしても,お父さんやお母さんはあなたが大好き>であることを繰り返し伝えて,<あなたはこんなにいいところを持っている>とほめてあげることが大切です.

■10.参考になる書籍

○診断基準について

DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル,アメリカ精神医学会(高橋三郎他訳),医学書院 2002.

○障害と対処法の理解のために

ガイドブック・アスペルガー症候群,トニー・アトウッド(冨田真紀他訳),東京書籍 1999.

高機能広汎性発達障害,杉山登志郎他,ブレーン出版 1999.

○高機能自閉症の本人による著作

自閉症だったわたしへ,ドナ・ウィリアムズ(河野万里子訳),新潮社 1993.

我,自閉症に生まれて,テンプル・グランディン(カニングハム久子訳),学研 1994.



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資料