第9回 イシュトさん


「 カ タ チ の 違 う 幸 せ 」

この世で一番愛している男・・・愛息子

6ヶ月の時
「アトピーっぽいなぁ」の医師の言葉に
新米母は「えー!?どうしようどうしよう」
その頃入っていた育児サークルで
「アトピーって言われたの」と情報交換。

1歳10ヶ月の時
「喘息かな?」に「えーえー?!」
育児サークルで
「喘息って言われてさぁ」

そして2歳4ヶ月の時
「広汎性発達障害だね」に「?????」
育児サークルで
「自閉症って言われてさぁ」
とは言えませんでした…。
そのサークルで、
母親達と子供の話題についていけなくなったのもその頃です。
他の子と違っていた…
育児書の発達から大幅にズレていた…。
他の子と息子との差を感じてしまったのです。
「うちの子は他の子とは違う」と、
その頃から自分に言い聞かせてきたように思います。

幼稚園に入り、
「うちの子は他の子とは違う」から
行事なんかは無理にさせなくてもいい。
園服いやなら着なくてもいい。と思ってました。

「イシュト」
ハンドル名を考えていた私。
息子は幼稚園で初の芸能祭の練習をしている頃でした。
練習をノリノリでやる時と
「やだ」と言ったままホールを走り回っている時があるとか、
劇のセリフをその時言わないで
いきなりお帰りの会の時言いましたとか…。
「正直に生きている奴だなぁ」と
感心しましたよ。

で、当日。
ステージ衣装は着ないと拒否。
家から着ていった黒Tシャツ黒スパッツ姿のまま
一人だけ黒子のようになって踊ってました。
劇は「出ないよ」と言い出して。
でも、先生がなんとか舞台ソデまで連れて行き
もちろん、期待していませんでしたよ。
一度出ないと言い出したらそんな簡単にいくヤツじゃない。
という事は母が一番知ってますし。
ところが、裏切ってくれました。息子は海賊役。
お手本となるお友達の後ろから
剣を持ちバンダナ巻いて出てきた時は
ジワー・・・・・目頭が熱くなりました。
「やるじゃん、あいつ」って。
一緒に見ていた母とお姑さんの肩をバンバン叩き
「見た?見た?出たよ!あれだよ見える?」とはしゃぐ私。
親バカならぬ"ばばバカ"?おばあちゃん二人も
「一番かわいい顔してるてぇ〜。上出来だ!」
とバカぶり発揮。
その海賊しっかり役名がついていました。
それが「イシュト」
もちろん普通で言えば上出来とはいえない踊りに劇ですが
他の子と同じ舞台に立ち、同じように役名をもらい
それだけでなんだかとても幸せな1日でした。

そして今、年中になった息子は
やっとピカピカの園服を着て登園しています。
他の子と違うかもしれないけど、それなりに幸せもあるって
最近感じ始めてきた私です。