第12回 バナナママさん


「 卒 園 式 」

私のハンドルバナナママの由来は…いたって簡単。うちの息子(6歳)はバナナが大、大、大好きなのです。1日1本は、必ずと言っていいほど食べています。果物は大好きですが、中でもバナナがダントツ一番かな?ということで「ハンドル…」と言われた時には、すぐに決まりました。

そんなバナナ大好き男は3月、2年通った保育園を卒園しました。
今日は、その卒園式の時のお話を…。

式当日。従兄から借りたスーツとローファーがとっても決まっていてカッコイイ!
息子に「今日は卒園式、今日で保育園終わり、K先生(大好きな介助の先生)とお別れ…」と言っても息子は???私は2年間にあった色んな事を思い出したら、行きの車の中で、もうすでにウルウルしてしまいました。

年中の冬。いつものように朝送っていき、教室でシール帳にシールを貼ったり、お昼寝枕にするタオルを出したりしていたら、ある男の子が、息子が近付いたら(息子は、かばんを自分の場所に片付けようとしただけで、その子に近付いたわけではないのですが)「こえ〜(こわい)」って言ったのです。「何で?」と聞いたら「こんなしたり(おしたり)、こんなするから(引っかいたり)」と。
でも、よく先生の話を聞いてみると、その前にその子が息子にちょっかいを出し、後になって、息子がその子のそばを通った時に「そういえば、やられたな」と思い出すのか、やり返すと「何にもしてないのにA(息子)が、ひっかいたぁ!」となるのです。
別な男の子には「Aの言ってることって、何言ってるかわかんねぇ!バカ?」とか…。

女の子にはわりと人気(?)があって、いつまでも部屋に入らない息子を「おいで」と連れてきてくれたり、うちの息子、剛毛なのか、量が多いのか、いつも寝癖で髪の毛が立っているんですね。そんな息子を「ベッカムみたい」とか、「お昼寝したら、扇子になったぁ」とか…、結構かまってもらっていました。
お迎えに行った息子に向かって、すごく自然にバイバイと手を振ってくれた男の子。息子も「バイバイ」と言いながら手を振り返していたシーンを見たときには、とっても嬉しくなりました。等など…。

卒園式は、向かい合う形で卒園児が後ろを向いて前方に並び、在園児と保護者が後ろに座りました。証書授与では、名前を呼ばれたら返事をして、一人一人前へ出て、「自分の名前」「入学学校名」「学校へ行ってやりたいこと」を言い、園長先生より証書と記念品を受け取り、それを中央にいる母に渡して、そこでまた一言。というものでした。
息子の場合は、介助の先生が隣について、質問して息子が答える。という形でした。
リハーサル最後の日、担任の先生に様子を聞いたら、「A君ね、学校へ行って何したいか?の時に、『お友達つくります』って言ったんだわ」と。きっとそう言ったお友達がいたのでしょう。そのまねだと思いますが、なんとも言えない気持ちになりました。それに「3月に入ってちょこちょことしていた練習では、イヤがり座ってもいなかったのに、今日はちゃんと座っていましたよ」と。でも、練習でうまくいっても本番は???ですから、あまり期待はしていなかったのですが…。

本番、式当日。
息子は言えましたよ。名前も入学する学校名も、そして「お友達つくります」も。
早口でゴニョゴニョとでしたので、他の人には聞き取れなかったと思いますが、立派でした。
”さすが息子よ。”それだけでも感激していたのに、頂いた証書と記念品を私に渡す時、介助の先生が「おかあさんに…」と誘導すると、息子は、なんと「ありがと!」と言ったんです。もう、こらえていた涙がバクハツです。他のお母さんは「おめでとう」とか「学校に行ってもがんばってね」など、答えていましたけど、私は涙するばかりで何も言えませんでした。「ありがと!」は、かなり小さい声でした。後でビデオを見返しても、その声は入っていませんでした。でも、私は絶対に忘れません。

こんな風に書くと、なんとも立派に式に参加しているようですけど、証書授与が終わり、メロディオン演奏や歌を歌う時なんかは、一人ケラケラ笑ったり、独り言を言ったりしていたのです。私は「静かにしろぉ」とか「最後なんだからがんばれよぉ」とか、心の中で叫んでいました(笑)。

最後に、大好きだったK先生とツーショット写真を撮り、お世話になった先生方に挨拶をし、じゃあ帰ろっか、と思っていたら、同じクラスだった4人の女の子が「一緒に写真とってください」と言ってきてくれました。できあがった写真を見てみると、迷惑そうな、でも内心嬉しいような、複雑な表情の息子の姿がありました。

そんな、こんなの卒園式でした。

かなり、ひとりよがりな(?)、親バカな文章だったかもしれませんが、どうぞお許しを…(笑)。