第48回 R&Rさん


「引っ越しなんて・・・」

はじめまして。ハンドルはR&R
子どものイニシャルからつけました。
うちの子どもたち二人とも(小5と小3)名前の頭文字がRなの。
2人が幼稚園ぐらいの時、よく同じおもちゃをほしがったので、
見分けがつくようにイニシャルで印をつけようとしたところ、
はじめてそのことに気づいて唖然としたっけ。
生まれてから何年もたっていたのに気づかなかったなんて
ホント私っておバカ。

さて、本題のお引っ越し。
私たち一家はこの春休み、マンションから一戸建てに引っ越をした。
主人の両親と同居することを決め、去年の暮れぐらいからいろいろと物件を見てまわり、
出した結論は築二十数年の家を買ってリフォーム。
別にあのテレビ番組のファンというわけではないけれど…。

工事は年明けから始まった。
「工期は二ヶ月弱、3月4日には完成しますが、冬の工事なので、余裕をみて引き渡しは3月14日でお願いします。」
と工務店のイケメン営業マンは言っていた。
それなら、20日21日の連休に引っ越しができる。ラッキー!と思い
一ヶ月も前から、評判の良い某引っ越し会社に予約をいれ、
「最後(?)の引っ越しはやっぱり、らくらくパックよね。」と張り込んだ。

しかし…、春めいてきた頃
「14日の引き渡しができそうにないのですが、引っ越しはいつのご予定でしょうか。」と
イケメン兄ちゃんから電話がかかってきた。
「えっ?20日の予定ですが・・・。」
「わかりました。19日には、お引き渡しできるようにいたします。すみません。」
さわやかに電話を切られてしまった。
そのすぐあとに今度は引っ越し屋さんから、これまた電話。
「19日からお荷物の箱詰めに入りたいのですが」
「ええ、お願いします。」
らくらくパックを頼んだんだもん、少しマダム風に答えて切った。
(19日は忙しくなるわ〜。)
この時私は、リフォームされた家とらくらくパック、それに陽気が加わり、完全に舞い上がっていた。

【3月19日当日】
朝早くから引っ越し屋さんが入り、パッキングがはじまった。
時々指示を出すぐらいで、することのない私は、リーダー格のおばさんの手際の良さに見入っていた。
何度も引っ越したけれど、こんなに楽なのは初めて。
今までの引っ越しはなんだったの?と、またまた舞い上がってしまった。
日が暮れはじめる頃まで作業を続け、彼らは帰って行った。
やれやれ、次は引き渡し。出かける準備でもしよう。と思っていたところに、主人から電話がはいった。
「今日の引き渡し、ダメだって。完成してないんだって。まだ住めないんだって。
とにかく来てくれっていうから、工務店の方に行こう。」
そんなこと急に言われたって、R弟はどうするのよ!
…仕方がない。時にケンカはしても、そこは兄弟。R兄よ、弟は頼んだよ。

工務店側の話では、ミスが重なり、引き渡しまで一週間かかるとのこと。
そして、引っ越しをそれまで延ばしてほしいということだった。が、
「事情があって、近日中にどうしても、部屋を空けないといけないんです!」とこちらが主張すると
「わかりました。ホテルに部屋をとって、荷物はトランクルームに預けましょう。」と提案してきた。
知らないとはいえ、自閉症児を抱える一家に一週間ホテル暮らしをしろとはあんまりよ〜〜。
とはいうものの、他に良い案も無く、「手配お願いします。」と答えた。
結局、頼んでいた引っ越し会社のトランクルームに空きはなく、
別の会社に、引っ越しとトランクルームでの保管をお願いすることになった。

【3月20日】
箱詰めのまま荷物をいったん部屋に全部戻してもらい、私たち一家はホテルに移った。
用意された部屋は、広めのツイン、そこにエキストラベッドを2コいれてもらった。
「ここで1週間も過ごすの?勘弁してよ!」
主人と私は一触即発の雰囲気だったけど、意外や意外、
子どもたちはワーィとベッドの上をはね回り、
それに飽きるとこんどは持ってきたテレビゲームで遊びはじめた。
なんでそんなに早く環境に適応できるのよ。私の心配はいったいなんだったのー?
人生いろいろ、自閉症もいろいろ…。

【3月22日】
ホテルから子どもたちを学校に送り、その足でマンションに戻って、引っ越し屋さんを待った。
時間通りに作業は始まったけれど、前の会社のような手際の良さはなく、ハラハラし通しだった。
夕方、子どもたちも学校からマンションに帰ってきて、しばらく遊んでいたが、
やがて飽きてきた様子になったので、二人をホテルに送り届けた。
ゲームとお菓子をたんまり持たせたのは言うまでもない。
その後も作業は続き、荷物を全部運びだし終えたのは、午後9時過ぎだった。なんにもしてないけど、疲れた。
急いでホテルに電話を入れると、R兄の元気な声がした。泣きは入っていない様子、安心した。

【3月26日】
家の引き渡しの日。
意外にもその日まではアッという間だった。
子どもたちの習い事がホテル周辺に集中していたため、そのホテルは便利だった。
食事が毎日外食か、コンビニの弁当だったことを除けば、皿洗いもないし、
掃除もしなくていいし、とても快適だった。
夕方、主人と二人完成(?)した家で、備品の使い方の説明を聞き、2時間ぐらいで引き渡しは終わった。

【3月27日】
4時ぐらいから、荷物が運び込まれてきた。
22日と同じ引っ越し屋さんとは思えないほどてきぱきしていて、驚いた。
まさに、やるじゃん、すごいじゃん、○○○じゃん!
午後9時、引っ越し屋さんにお礼を言って見送り、私たちもホテルに戻った。

【3月28日】
ホテルを引き払い、新居に移った。
人手がないので荷解きまでは請け負えないと言われていたので、
自分でひとつひとつ段ボールをあけていった。もはや、マダムのかけらもない私。
自分で詰めていない段ボールをあけながら片付けていくのは想像以上に大変だった。
どの段ボールになにが入っているのかさっぱりわからん!

【6月吉日】
いろいろあって、未だに業者さんが出入りし、工事の音の絶えない我が家だけど、
おじいちゃんおばあちゃんも加わり、六人でなんとかやっている。
我が家の友蔵爺さんには、R弟の同じ事の繰り返しも気にならないらしく、
二人はとても仲良し。よかったよかった。

そうそう、この引っ越しで、ひとつだけ、利口になったことがあるの。
『らくらくパック,ゴミまでらくらくパック。』名言でしょ。
この意味がすぐにわかった人は、生活を改めたほうがいいわ。